連携・共同化支援
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1.中小企業組織・連携対策の推進
中小企業は一般に規模の過小性、信用力の低さ等によって、市場における競争単位としては大企業に比べ不利な立場に置かれている。中小企業がこのような不利を克服し、発展していくためには、連携・組織化を図ることにより自社に不足する経営資源を補完し、その能力が十分に発揮されるようにすることが有効な手段の一つといえる。このため、中小企業の組合制度等による連携支援の強化を行っていく。
また、近年においては、新市場創出等の観点から、特徴のある技術、ビジネスノウハウ、知的財産権等を持つ中小企業等が相互に連携し、製品・サービスの高付加価値化を目指す取り組みへの支援が重要となっており、このような新たな連携(中小企業新事業活動促進法の「新連携」)に対しても支援する。
2.中小企業の組合制度
中小企業組合とは、中小企業者等が組織化し、相互扶助の精神に基づき協同して事業に取り組むことにより経営資源の相互補完を図るための組織である。組合には、協同組合法に基づく事業協同組合や企業組合等、中小企業団体の組織に関する法律(団体法)に基づく協業組合と商工組合等がある。これらの組合に対し、中小企業団体中央会を通じて助成、指導(「中小企業活路開拓調査・実現化事業」など)を行う。
特に最近では、異業種の事業者が連携して、新事業開拓や研究開発などのソフト面での共同事業を行う組合、SOHO事業者、女性、高齢者等が集まり自ら働く場を設けるための組合、情報化、電子商取引の推進や環境リサイクル等循環型社会の構築、福祉、介護、物流効率化等の新たな事業を行う組合などの設立が多く見られている。
(1)組合の種類
@事業協同組合 総数:約37,500
中小企業者が、新技術・新商品開発、新事業分野、市場開拓、共同生産・加工・販売等の事業を共同で行うことにより、事業者の新事業展開、経営革新、経営効率化等を図るための組合である。構成員が主体性を維持し、相互扶助の精神の下、共同事業により経営の効率化を図るものであるため法人税等が軽減されている。最近では、異業種連携による技術等の経営資源の相互補完により、新事業展開を目指すものが増えている。
A企業組合 総数:約2,500
個人が創業する際に、会社に比べ少額の資本で法人格を取得でき有限責任のメリットを享受できるように考えられた、いわば簡易な会社ともいうべき組合である。
最近では、企業をリタイヤした人材や女性、高齢者、SOHO事業者等が自らの経験、ノウハウ等を生かして、働く場を作ろうとするケースが増えており福祉介護、託児所開設(保母・看護婦の経験を生かした創業)、地元特産品の開発、ソフトウェア開発、インターネットを活用したビジネス等様々な分野での創業に活用されている。
B協業組合 総数:約1,100
中小企業者が、お互いの事業を統合(協業)し、事業規模を適正化することにより生産性の向上を図ることを目的とする組合である。
古い生産設備を廃棄し、最新鋭の設備を共同で導入することにより生産工程を協業化するケース、原材料の仕入れや販売部門を効率化するため数社で協業化するケース、部品加工業者と完成品メーカーによる一貫生産等に活用されている。
(2)中小企業組合の弾力的な運営
@組合事業の成長・発展に応じた柔軟な組織変更も可能
事業協同組合、企業組合及び協業組合は、組合形態で創業した事業が軌道に乗り、従業員や資本を増加させて更なる事業拡大を図ろうとする場合や、連携組織による研究開発成果を事業化しようとする場合などに、事業実績や設備などをそのまま活用して、事業を休止することなく円滑に株式会社又は有限会社に組織変更が可能である(解散手続きを経ないため組合の資産に対して清算課税されない)。
A創業・新事業に挑戦する個人等の多様なパートナーシップが可能
平成14年12月に中小企業等協同組合法の一部改正を行い、企業組合制度を改善した(平成15年2月1日施行)。これまで、企業組合の組合員は個人に限られていたが、法人や投資組合などの個人以外の者も加入が可能になり、また、従事比率、組合員比率、出資比率配当などの制限の緩和により、多様なパートナーシップ組織として、より一層活用しやすい制度になっている。
3.高度化事業
高度化事業とは、個々の中小企業が単独では行えないような経営体質の改善、環境変化への対応を図るための事業を共同で行う場合や、地方公共団体と中小企業者が一体となって設立した第三セクターや商工会等が中小企業の経営基盤の強化を支援する場合に、中小企業基盤整備機構と都道府県が協力して行う資金・指導両面からの助成制度である。
高度化事業は、大きくは、(1)中小企業者(組合)が行う事業…高度化に寄与する事業、(2)第三セクター等が行う事業…高度化を支援する事業、の2つに分かれ
る。
(1)中小企業者(組合)が行う事業
経営基盤の強化、環境変化への対応などのために事業協同組合等を設立して共同で取り組む中小企業者を対象とする事業で次のようなものがある。
@集団化事業
工場を拡張したいが隣接地に用地を確保できない、騒音問題のため操業に支障があるなどの問題を抱える中小企業者が集まり、郊外に充実した設備の整った工場を新設し、事業の拡大・効率化、公害問題の解決を図る。
A集積区域整備事業
商店街に、アーケードやカラー舗装、駐車場などを整備したり、各商店を改装し、商店街の魅力・利便性を向上させ集客力を高める。
B施設集約化事業
大型店の出店などにより今後の経営に危機感を抱いている商店主が、共同で入居するショッピングセンターを建設し、集客力・販売力を向上させる。
C共同施設事業
中小企業者が共同で利用する共同物流センター、加工場や倉庫などの施設を建設し、事業の高率化、取引先の拡大を図る。
(2)第三セクター等が行う事業
地方公共団体、地元産業界により設立された第三セクターや商工会・商工会議所などが、地元の中小企業者や起業家を支援するために施設を配置・運営する事業である。
@地域産業創造基盤整備事業
起業家を支援するインキュベーション施設などを設置し運営する事業。
A商店街整備等支援事業
商店街活性化・集客力向上のため、多目的ホール、駐車場、共同店舗などを設置し運営する事業。
【支援内容】
高度化事業に係る助成としては、以下のものがある。
@啓蒙・指導
中小企業基盤整備機構は、中小企業に対して高度化事業の必要性の啓蒙や、高度化専門のコンサルタントによる指導等を実施している。
A高度化融資
中小企業基盤整備機構と都道府県が財源を出し合って、高度化事業の実施に必要な資金の長期・低利の融資を実施している。融資に際しては診断を行い、指導と融資を一体化して行うところに特徴がある。
1)貸付条件
・貸付限度額:なし
・貸付割合:原則として80%以内
・貸付対象:設備資金
・貸付利率:年0.95%(平成18年度)、又は、無利子(特別の法律に基づく事業など)
・貸付期間:20年以内(うち据置期間3年以内)
・担保・保証人:都道府県又は中小企業基盤整備機構の規定により徴求
2)診断の実施
貸付に当たっては、事前に事業計画について、都道府県が中小企業診断士等の専門家を活用して診断・助言を行う。診断・助言には計画の内容により中小企業基盤整備機構も参加する。
B高度化出資
中小企業基盤整備機構は、平成元年から中小企業構造の高度化を支援する者(株式会社形態の第3セクターのみに限る)に対する出資事業を実施している。対象となっている事業は、地域産業創造基盤整備事業、商店街整備等支援事業がある。