モノづくり中小企業への支援
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 我が国製造業の国際競争力の源泉は、鋳造、鍛造、めっきなど、モノ作りの基盤となる優れた技術を有する中小企業が、製品・部品の開発・生産プロセスにおいて、川下の企業と密接な摺り合わせを実施している点にある。
 燃料電池やロボット等の先端的産業を始め、我が国経済を牽引していく製造業の国際競争力の強化及び新産業の創出のためには、基盤技術を担う中小企業の競争力を一層高めていくことが重要である。
 しかし、こうした中小企業は、競争の進展に伴う取引関係の変化や、技術の高度化・専門化による技術開発リスクの上昇、人材・資金面での経営資源確保の困難さなど、様々な課題に直面している。
 このような中小企業を強力に支援するため、「中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律(中小ものづくり高度化法)」が2006年6月に施行され、中小企業によるモノ作り基盤技術に関する研究開発や、その成果の利用の促進について、戦略的・重点的に支援策を講じることとなった。

1.モノ作り中小企業(認定を受けた中小企業者)の研究開発支援
 「中小ものづくり高度化法」に基づき、特定基盤技術(鋳造、鍛造、めっき、プレス加工、金型等)を指定し、技術毎に中小企業が目指すべき技術開発の方向性を取りまとめた将来ビジョン「特定ものづくり基盤技術高度化指針」を策定する。また、当該指針に基づき、中小企業が作成した特定研究開発等計画を国が認定し、助成金、低利融資、特許料の減免等、各種の支援をする。主な支援内容は次のとおり。
 @戦略的基盤技術高度化支援事業
  我が国経済を牽引していく産業分野の競争力を支える基盤技術(鋳造、鍛造、めっき、プレス加工、金型等)の高度化等に向けて、中小企業が行う革新的かつハイリスクな研究開発や、生産プロセスイノベーション等を実現する研究開発を支援する。
 A日本政策金融公庫(中小企業事業)による融資(企業活力強化資金)
  「中小ものづくり高度化法」に基づき、経済産業大臣から特定研究開発等計画の認定を受けた中小企業者で一定の要件を満たすものに対して、日本政策金融公庫(中小企業事業)による特別貸付を行う。詳細は、第4章第3節「企業活力強化資金(新産業創造戦略関連)」を参照のこと。
 B信用保証(中小企業信用保険法)の特例
  認定計画に必要な資金の民間金融機関からの借入に対する信用保険の限度額を拡大する。
 C中小企業投資育成株式会社法の特例
  中小企業が認定計画を実施するために増資するような場合には、資本金3億円超であっても、中小企業投資育成株式会社が株式引受等を行い得ることとする。
 D特許料等の特例
  中小ものづくり高度化法に基づく認定を受けた中小企業が実施する技術開発に伴う研究開発事業による成果について、特許出願(計画開始から計画終業後2年以内に出願されたものに限る)を行う際の審査請求料・特許料(第1年〜第6年)を半額に軽減する。

2.その他のモノ作り基盤技術高度化のための環境整備支援施策
 中小ものづくり高度化法に基づく認定企業に対する支援措置の他、モノ作り中小企業の課題解決に向けた環境整備が図られている。
 @川上・川下ネットワーク構築支援事業
  有益な情報入手につながる、中小企業と大企業との「出会いの場」を創設する取組を支援する。
 A中小企業知的財産啓発普及事業
  知財の活用ノウハウや問題解決の相談窓口として、全国の商工会・商工会議所をいわゆる「知財駆け込み寺」として整備している。
 B工業高校等実践教育導入事業
  地域の産業界と教育界(工業高校等)とのマッチングの機会を提供し、中小企業の若手技術者育成、工業高校等の実践的な教育プログラムの充実を支援しつつ、その普及を図る。
 C「中小企業新事業活動促進法」に基づく支援(SBIR)
  本章第11節参照
 DSBIR段階的競争選抜技術革新支援事業
  本章第11節参照
 E中小企業技術基盤強化税制
  試験研究費の額に応じて、税制の特別措置を受けることができる。詳細は、第4章第4節参照。
 F中小企業総合経営支援事業
  中小ものづくり高度化法に基づく特定研究開発等計画の事業化促進を図るためのコンサルティング等専門家等を活用しながら、経営・技術・知財等、中小企業が抱える経営課題等に対し、きめ細かなアドバイスや高度な支援を受けることができる。