中小企業の再生支援
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1.中小企業の再生支援
金融機関の不良債権処理の加速化に伴い、中小企業への影響が懸念される。一方、中小企業は数が多く、多種多様であり、その事業内容や課題もそれぞれの地域性が強いという特性がある。このような中小企業の置かれた現状と特性を踏まえ、柔軟かつきめ細かく支援するために、全都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会を軸に、地域の総力を結集して中小企業の再生に取り組む。また、再生のための資金支援が実施されている。
2.中小企業再生支援協議会
中小企業の再生に向けた取り組みを支援するため、産業活力再生特別措置法に基づき、各都道府県の商工会議所等に設置されている公的機関である。
過剰債務により経営状況が悪化しているが、財務や事業の見直しなどにより再生が可能な中小企業者を対象として、中小企業再生支援協議会に専任の専門性のある支援業務責任者を配置し、中小企業の再生に関する相談窓口を設置する。相談においては、企業再建型の再生に限定することなく、基本的な対応の方向性について適切な判断を行い、対応策を提示する。また、相談案件のうち、事業再生は可能であるが抜本的な財務体質や経営改善が必要な企業について、支援業務責任者自らが個別企業の取り組みを支援し、必要に応じて、中小企業診断士、弁護士等の専門家に依頼して、共同で再生計画の作成支援等を実施する。
以前の産業再生機構の中小企業版といえるが、産業再生機構のように、不振企業向け債権を金融機関から買い取る機能はない。また、経営改善計画を作成しても、債権を持っている金融機関の合意を得られなければ、計画は実行できない。
3.第二会社方式による事業再生に関する支援
中小企業の事業再生の強化を目的として、財務状況が悪化している中小企業者の将来性のある事業を、会社分割や事業譲渡により他の事業者(第二会社)に承継させ、その再生を図ることを支援する。営業上必要な許認可等を承継できる特例、税負担の軽減措置、金融支援を活用することができる。
※第二会社方式とは、(1)将来性のある事業部門を他の事業者に切り出して継続を図るとともに、(2)負債・赤字部門を残した旧会社を清算する再生手法。
【対象者】
過大な債務を抱えていること等により財務状況が悪化し、事業の継続が困難となっているものの、将来性のある事業を有している中小企業者
【支援内容】
「産業活力再生特別措置法」に基づき、中小企業者が将来性のある事業を、第二会社方式により再生させる「中小企業事業承継再生計画」を作成し、認定を受けると、以下の各種支援策をご利用できる。
・営業上必要な許認可等を承継
・税負担の軽減措置
・金融支援
4.地域中小企業再生ファンド(再生支援出資事業)
「産業活力再生特別措置法」に基づき、再生に取り組む中小企業に必要な資金を供給し、経営支援を行う事業である。
【対象者】
過剰債務等により経営状況が悪化しているが、本業には相応の収益があり、財務リストラや事業の見直しなどにより再生が可能な中小企業者
【支援内容】
再生が見込まれる中小企業の株式、債券を中長期的に保有して継続的に財務面、経営面の支援を行う。地域の中小企業再生支援協議会や金融機関と連携して再生計画の実現をサポートする地域密着型ファンドと再生ファンドが組織されていない地域や比較的規模の大きな中小企業を支援する全国型ファンドがある。
5.企業再生貸付制度
民事再生などの法的再生や自主再建に取り組む中小企業、あるいは再生事業者から営業譲渡等により事業を承継する中小企業に対し、必要となる資金を日本政策金融公庫が融資する制度である。
(1)事業再生支援資金(中小企業事業)
【対象】
@民事再生法の規定による再生手続開始の申立て等を行った者であって、認可決定前のもののうち、一定の要件を満たす者
A民事再生法等に基づく再生計画等の認可等を受けた者及び私的整理に関するガイドラインに沿って私的整理を行う者で、一定の要件を満たす者
【貸付限度額】
設備資金:7億2000万円(うち長期運転資金2億5000万円)
(2)企業再建・事業承継支援資金(中小企業事業・国民生活事業)
【対象】
@経営改善、経営再建等に取り組む必要が生じている者であって、特定の要件を満たす者(中小企業事業・国民生活事業)
A民事再生法に基づく再生計画の認可等を受けた者で、特定の要件を満たす者(国民生活事業)
B事業再生に取り組む者などから事業の譲渡等により事業を承継する者(中小企業事業)
C後継者不在等により事業継続が困難となっている者から事業の譲渡等により事業を取得する者(中小企業事業・国民生活事業)
【貸付限度額】
・中小企業事業:設備資金7億2000万円(うち運転資金4億8000万円)
・国民生活事業:設備資金7200万円(うち運転資金4800万円)
6.事業再生保証制度
信用保証協会による再生支援制度である。民事再生法等の法的な再建手続きに取り組んでいる中小企業者を対象に金融機関が融資を行う際に信用保証協会が保証を行う制度。保証限度額は2億円、保証期間は10年以内。
7.再チャレンジ支援融資制度
第4章第3節参照。
8.再挑戦保証制度
第4章第3節参照。